抄録
都市の有機性廃棄物処理システムにおいては, 多様な選択肢があり複数の将来像が考えられる. 本論文では, 政策によって将来の構造がどう変化するのか複数の代替案を同じ基準で比較するために, 廃棄物処理, 下水処理, 自家処理間の有機性廃棄物フローを統一して評価できる将来予測システムを構築した. 手法の特徴は, 生ゴミ処理方法に対する市民の意識を反映した選択行動を組み込んだ上で, 発生から最終処理までの物質 (全体量, 炭素, 窒素, りん) フローを2000年から30年間予測し, 費用とCO2排出量を指標として予め設定した政策を評価し得ることにある. なお本手法は, 将来の新たな処理, 再資源化方法の追加に対する拡張性を持っている.