環境システム研究論文集
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利他的効用理論による環境質の遺産価値
遺産価値の分離可能性と数値実験
林山 泰久奥山 忠裕
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2003 年 31 巻 p. 55-66

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抄録
環境質の経済学的価値が利用価値と非利用価値に大別されることはよく知られていることである. 本研究は, 特に, 環境質の非利用価値のなかで遺産価値に着目し, 遺産価値の発生する要因を理論的に定式化することにより, 発生要因が非利用価値に与える影響および遺産価値の定量的計測可能性を検討することを目的とする.
そのため, 本研究では利他的動機を市場で観察可能なデータから把握するために環境保全行動を明示的に表現し, 利他的効用理論に基づいた消費者行動を定式化することにより, 遺産価値を定義した. その結果, 利他的効用理論を用いた場合においても環境質の価値は加法分離可能であり, かつ, 数値解析を行うことにより, 利他的効用水準の変化により遺産価値が上昇した場合には, 相対的に環境質の存在価値も上昇することが示された.
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© 社団法人 土木学会
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