2004 年 32 巻 p. 1-9
水紛争の時代と比喩されるいま、効果的な水利用と配分のための水戦略が求められている。そこで財・サービス生産に要した水を “仮想水” として扱うVirtual Waterの概念が注目されている。本研究では中国の地域間産業連関表を用い、 11産業交易に関し国内の仮想水動態を推計した。水資源が乏しい黄河流域内では中流域に他流域の仮想水が集中していることが判明した。これら結果から財取引を通じた地域レベルでの水戦略の必要性、 特に黄河流域では水配分公平の観点から水集約財を多く生産する下流域と、他地域に水集約財生産を依存している中流域への対策必要性が認識された。