局地降雨は周辺地域の地形の影響を強く受けるため, 地域によって局地降雨の形成過程は多種多様である. 九州北部の鳥栖・基山地域は東西に山系が迫り, 山系間の狭い平野地帯が南北の筑紫・福岡平野をつなぐ地形となっており, 頻繁に局地降雨が発生する. 本研究では, この地域の風系と局地降雨の関係について検討し, また数値計算により実際に局地降雨が発生した日を再現させ局地降雨の発生機構について検討する, アメダスデータによると, 局地降雨の発生日には福岡平野では玄界灘方向, 筑紫平野では有明海方向からの風が卓越することが明らかとなった. さらに, 局地降雨の発生時には40%以上の割合で両方向からの風90%の割合で少なくとも一方からの風が吹く. 玄界灘からの風に含まれる水蒸気量が20g/m3を越えると, 局地降雨の発生可能性が高くなる. 再現計算の結果では, 玄海灘からと有明海方向からの海風の発生が確認された.内陸では, 2つの海風の収束ラインが形成され, ライン上では強い上昇風の形成と比湿の増加が見られた.