環境システム研究論文集
Online ISSN : 1884-8125
Print ISSN : 1345-9597
ISSN-L : 1345-9597
雑木林における上層木の伐採が林床草本の種組成と開花に及ぼす影響
深田 健二亀山 章
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 33 巻 p. 461-467

詳細
抄録
雑木林における上層木の伐採が林床草本の種組成と開花に及ぼす影響を明らかにし、適切な植生管理を行うための基礎的知見を得るために、東京都日野市において上層木を伐採してからの経過年数が異なる4つの調査対象地で草本層の植被率、林床草本の出現種と開花種の調査を行った。上層木の伐採後の経過年数は0年、5年、14年、48年である。調査は3年間行い、各調査対象地のデータを時系列的に配置して扱った。調査対象種は (1) 1, 2年草、(2) 草原性多年草、(3) 人里性多年草、(4) 森林性多年草に分類した。草本層の植被率は上層木を伐採すると急速に増加した。林床草本の出現種数と開花種数は上層木を伐採すると急速に増加し、林冠が閉鎖すると減少する傾向がみられ、(1) ~ (4) のタイプによって変化パターンに違いがみられた。上層木の伐採は草本層の植被率や草本種の出現種数と開花種数の増加を促し、生物多様性の保全に有効であると考えられた。
著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top