環境システム研究論文集
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全世界における人間活動に伴う窒素フローの推計に関する研究
藤森 真一郎河瀬 玲奈松岡 譲
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2006 年 34 巻 p. 209-220

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抄録

本研究では, 2001年における全世界の人間活動に伴う窒素のフローを推計した. また, 全世界の窒素のフローを記述する表として全世界を対象とした窒素物質勘定表 (GNAT) を開発した. GNATは投入表, 産出表, 貿易表の3種類の表から構成される. GNATのフローの推計には物質収支調整計算を用い, 各種国際機関が発表する様々な統計値などを基に整合的なフローの値を推計した. その結果, 2001年の全世界における人間システムへの窒素の投入量は203.5TgN/yであった. 地域で比較した場合最も投入量が大きかったのは中国, 次いでアメリカであり, それぞれ42.1, 27.1TgN/yであった. 人ロー人あたりの投入量は中国が32.9kgN/y/人であり世界の平均とほぼ同じであったのに対して, アメリカはその2.8倍の95.3kgN/y/人であった. 貿易量を比較すると, 純輸入量が最も大きかったのは日本で1.38TgN/yであった. また財の産出量に対する純輸入量が0.67であり, 日本が多くの窒素を国外に依存していることが明らかとなった. 先進国と途上国の貿易関係に注目すると, 先進国間での貿易量 (18.9TgN/y) が大きかった. 途上国から先進国へのフロー, 先進国から途上国へのフローの量に大きな差は見られなかった.

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