地域における様々な活動が地球規模の環境問題の要因となっているため, 地方自治体においても地域住民のニーズだけでなく, 地域の内外で暮らす人々や生態系への環境影響にも配慮しつつ, 自らのまちづくりを推し進めなければならない.そのためには, まちづくりによって実現される地域の便益の向上と生じる環境影響を定量的に把握して比較し, 意思決定や改善につなげていくことが重要であり, 環境効率の概念の援用が有効であると考えた.本研究では, まちづくりの環境効率を「まちづくりによる住民便益/まちづくりのライフサイクル環境影響」として検討した.まちづくりの環境影響と住民便益は, まちを構成する施設の種類・規模を基準として, 環境影響は日本版被害算定型環境影響評価手法 (LIME) で, 住民便益は住民選好から便益を測るコンジョイント分析の選択型実験を用いてそれぞれ貨幣価値にし, 比較を行った.そして, 三重県多気町のまちづくりにこの手法を適用した.