環境システム研究論文集
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福島県・鶴江川におけるヨシ刈りのヒヌマイトトンボに対する影響
宮下 衛染谷 保三田村 敏正
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2006 年 34 巻 p. 67-73

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抄録

ヒヌマイトトンボは河川改修や埋め立てなどの開発により生自地が減少したため, 1991年に環境庁により絶滅危惧種に指定されているイトトンボである. 福島県南相馬市原町区の鶴江河口域に生息するヒヌマイトトンボに対するヨシ刈りの影響を調べた. 2003年3月, 鶴江川野馬橋の河川敷きの両岸のヒヌマイトトンボ生息地において, 河川工事のために立ち枯れヨシの刈り取りが行われた. 2003年夏の調査では, 鶴江川野馬橋下の両岸でヒヌマイトトンボの成虫が確認されたが, 2005年の調査では成虫は確認できなかった. また, 幼虫についてはヨシが刈り取られて以来, 全く確認されていない.ヒヌマイトトンボ生息地の立ち枯れヨシが刈り取られたために, 成虫の産卵や幼虫の生息の場であるヨシの枯茎葉が流出し, ヒヌマイトトンボは消滅したと考えられた.

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