2006 年 34 巻 p. 75-82
本研究では, 滋賀県で最初に干拓されたといわれる小中の湖の再生を目指して, 古老に対するヒアリングを中心とした調査によって, 干拓前の同湖の状況と果たしていた機能, 伝統的な維持管理手法を明らかにしようとした.その結果, 内湖の環境形成機能として, 同内湖に生息していたであろう鳥類・貝類・魚類などを推察することができた.また, 同内湖が漁業やヨシ業などの生業の場であったこと, あるいは湖底のスクモと呼ばれる腐食土やモラ (藻) が冬の代用燃料や田畑への緑肥として利用されていたことなど, その水産機能や水生植物の生産機能, 維持管理手法の一端を明らかにすることができた.