2006 年 34 巻 p. 97-103
干潟の保全再生の取り組みが全国で始まっている.その際, 環境目標の設定が重要であるが過去の再現は困難なことが多い.福岡都市圏の今津干潟は古代から栄え, 貝塚を始め多くの歴史的資料が蓄積されている.本研究ではこれらの資料を分析し, 古代から昭和50年代までは干潟と人の係わりが密接であったこと, 地域では干潟環境の悪化は砂質干潟の泥質化が原因だとされていたが, 出土貝類の状況から泥干潟が古代から存在していたことなどを明らかにした.本研究のアプローチは各地の干潟再生に貴重な情報を提供すると考えられる.