抄録
本研究は下刈りと落ち葉掻きは続いているが, 上層木を伐採しない雑木林において林床草本の開花に影響している要因を明らかにし, 適切な植生管理のための基礎的知見を得ることを目的としている. 調査対象地は下刈りと落ち葉掻きが50年以上継続している雑木林であり, 調査対象種はシラヤマギク, ハエドクソウ, タチツボスミレ, ジャノヒゲ, ヤブランの林床草本5種である. 調査は2000年と2006年に行い, 開花はシラヤマギクではみられず, 残りの4種はみられた。シラヤマギクが開花しなかったのは, 林床の光環境が暗く, 開花する体サイズに到達できなかったためであると考えられた, このことから, 下刈りと落ち葉掻きだけでは, 林床草本を開花させるのに不十分であり, 林床草本の保全には上層木の伐採が必要であると示唆された.