本研究では, 湖辺域の広域景観計画を, 住民の景観認識に基づき体系的に策定する方法論を構築することを目的としている.これをシステムズ・アナリシスの枠組みから位置づけた後, 湖岸開発などにより景観の悪化が懸念されている琵琶湖湖辺域を対象として, 湖岸で撮影した写真を用いたアンケート調査から, 景観構成要素が景観評価に与える影響を定量的に明らかにした.次に, 琵琶湖湖辺域が有する景観構成要素のデータを500mメッシュで整備し, 湖辺域の現状の景観評価を行った後, 湖辺域をその特徴からゾーニングし, ゾーン別の景観将来シナリオについて, 「効用」「公正」の概念を含む複数の指標を用いて評価を行った.