本研究では, 地域の窒素バランスを明らかにし, 余剰となる窒素の処理方法を検討するまでの評価を愛知県豊橋市を対象に行った.豊橋市の窒素バランスは家畜糞尿の堆肥生産可能量が農地における有機物資材受入可能量を超えており, 豊橋市において発生する家畜糞尿を全量堆肥化し, 市内農地に投入することは困難であることが明らかになった.また, 現状の投入量も有機物資材受入可能量を超えている結果となった.次に余剰の窒素を処理するシナリオとして, メタン発酵シナリオと焼却シナリオを設定し, 現状の処理方法と比較した. その結果, 豊橋市ではメタン発酵シナリオの導入により, 約11, 000ton-CO2eqにあたる温室効果ガスの削減が可能であることが示された.