抄録
耕作放棄は農村地域の崩壊だけでなく, 農耕によって発揮される多面的機能の低下を招き農村を取巻く流域の経済成長や環境資源の持続的管理を不安定化させると考えられる. こうした環境-経済-社会の全般的課題に取組む環境システムを構築するには, 農業生産額や農地の環境性能評価の算定に用いられる耕作放棄状態を定量するモデルが必要となる. 本研究では地理情報システムを援用してネスティッドロジット型の田の耕作放棄モデルと開発することを目的とした. 提案モデルを現行補助金制度に適用して現制度の課題を明らかにし, 持続的営農のための補助金計画法を提案した. 最後に本モデルの環境システム分析への発展性について持続的な営農と流域環境経済問題に関する既往研究を例に述べる.