2008 年 36 巻 p. 59-67
近年, 中国の鉄鋼生産量が飛躍的に伸びており, それに伴うCO2排出量の増加が気候変動問題に与える影響が懸念される. 本研究では, 2003年の中国各省の鉄鋼業を対象に二酸化炭素排出量を考慮したフロンティア生産性分析を行い, 非効率性とCO2排出の限界削減費用を推計する。分析結果から, 中国沿海部の省が効率的なフロンティア生産を行っており, 分析対象すべての省が効率的な生産を行った場合には, 約1.8億トンCO2 (中国鉄鋼業全体の約40%) の削減が可能であることが明らかとなった. また, 中国鉄鋼業のCO2排出削減のための地域投資配分では, 限界削減費用を考慮した最適配分の効果が最も大きいのは投資規模が500億元から700億元の間であることが分かった.