現地と室内実験によって, アサリの生残, 成長に影響する環境条件の確認とアサリ保全策の効果を検証した.干潟耕耘は, 底質硬度を低下させ, 日射による底質温度の高温化を緩和した.このことが, 8月の高温期にアサリの肥満度を高い状態で維持する可能性を示した.干潟表面への保護網の設置は, アオサが堆積・腐敗して底泥硫化物が増加することを防ぐことで, アサリの生残への正の効果が認められた.
和白干潟では, 温度が上昇しやすい高地盤域での耕耘や, アオサの堆積時期の保護網の設置は, アサリの成長速度の向上と生残率の維持に寄与することから, アサリ資源を保全する手法として有効であることが示された.