夏季に発生する特定外来生物ブラジルチドメグサの枯死現象を明らかにするために,枯死要因として推測された水位,水温,栄養塩(全窒素・全リン)濃度をモニタリングするとともに,これらに係る生活史特性を明らかにした.その結果,1)クリークにおける水位変動は最大で80cm程度であったが,葉柄の伸長等により80cm程度まで適応可能であったこと,2)栄養塩濃度は春季と夏季で差はなく,栽培環境下では栄養塩濃度が極端に低い場合でも長期に生存できたこと,3)水温は最高で35℃程度であったが,栄養塩の吸収速度は25℃よりも35℃条件下で大きかったことから,これらの環境因子が枯死要因である可能性は低いと考えられた.一方,ブラジルチドメグサの茎は,盛んに分枝して階層状に発達し空気中を横走するようになるが,日照時間が長い猛暑日が続いた場合,これらの茎葉に強い水ストレスが生じることで枯死が発生し個体全体に波及していることが示唆された.