自然保護助成基金助成成果報告書
Online ISSN : 2189-7727
Print ISSN : 2432-0943
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はじめに
目次
第29期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 特定テーマ助成
第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内研究助成
  • 川西 基博, 酒匂 春陽, 相場 慎一郎, 藤田 志歩, 鵜川 信, 榮村 奈緒子, 田金 秀一郎, 宮本 旬子
    原稿種別: 第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内研究助成
    2021 年 30 巻 p. 6-24
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/09/30
    研究報告書・技術報告書 フリー

    世界自然遺産候補地の奄美大島と徳之島の照葉樹林において森林調査区を設定し,動植物のモニタリング体制の構築を進めている.本研究では,奄美大島の照葉樹林において情報の乏しい国有林以外の森林域を中心に,伐採履歴および微地形と種多様性との関係を把握することを目的として調査を行った.その結果,尾根に近い上部斜面域と,深い谷に面した下部斜面域では照葉樹林の構成種に共通性が見られるものの,明瞭に分布パターンが異なる種があることが明らかになった.特に,シダ植物やラン科植物などの地生草本は下部斜面域に分布する種が多く,非伐採地を中心に絶滅危惧種を多く含む着生植物の生育地となっていた.さらに,地点数-累積種数関係から下部斜面域の非伐採地では地点間の種組成の違いが大きく,ベータ多様性が全体の種多様性に大きく貢献していると考えられた.一方,伐採地に遍在する落葉樹や,尾根など上部斜面域に遍在する高木種や低木種もあった.以上の結果から,流域全体の植物の多様性が維持されるためには,尾根から谷までの斜面上のそれぞれに生育立地が存在することが不可欠であると考えられた.

  • 南 正人, 竹下 毅, 大塚 里沙, 須田 千鶴, 近清 弘晃, 井上 孝大, 岸元 良輔
    原稿種別: 第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内研究助成
    2021 年 30 巻 p. 25-39
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/09/30
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ニホンジカ(Cervus nippon)捕獲用のくくりわなでニホンカモシカ(Capricornis crispus)が錯誤捕獲されており,その影響を調べた.長野県小諸市は2016年から錯誤捕獲されたカモシカに耳標を装着して記録している.千曲川南側の丘陵地に2017年から22台のセンサーカメラを設置し,耳標のついたカモシカの生存と負傷状態を確認した.2016年から2019年まで錯誤捕獲は減少していなかったが,2020年に減少した.追跡している52個体で,同一個体が平均で2.73回,最大で14回錯誤捕獲されていた.18頭が四肢を負傷しており,そのうち4頭が四肢のうち2本を負傷していた.死亡した4頭の剖検の結果,くくりわなにかかった部位の筋肉や骨が損傷していたことがわかった.負傷個体の生存率は健常個体よりも低い傾向があったが,例数が多くないので,継続的な調査が必要である.

  • 森下 浩史, 東 幹夫, 佐藤 慎一, 松尾 匡敏, 山田 勝雅, 逸見 泰久, 佐藤 正典, 市川 敏弘
    原稿種別: 第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内研究助成
    2021 年 30 巻 p. 40-48
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/09/30
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究グループは,将来的な諫早湾の常時開門を見据えて,有明海全域の底生動物分布の現状を明らかにするとともに,それらのデータを常時開門後に実施される生態系影響解析への比較対象とすることを目的としている.今年度は,1997年4月の潮止め前から毎年欠かさずモニタリングをしてきた諫早湾干拓調整池16定点と有明海奥部海域50定点の採泥調査に加えて,5年に1回のペースで過去4回行ってきた有明海全域106定点の採泥調査を実施した.さらに,前年度2019年6月に有明海奥部50定点で採集した生物試料のソーティング作業を完成させ,過去23年間の調査データをまとめて8編の学術論文・報告として公表した.日本ベントス学会自然環境保全委員会は,これらの論文を引用することで,2020年6月に福岡高等裁判所に対して「諫早湾干拓事業の常時開門確定判決無効化の見直しを求める要望書」を提出した.

  • 藤田 喜久, 下村 通誉, 東 和明
    原稿種別: 第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内研究助成
    2021 年 30 巻 p. 49-56
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/09/30
    研究報告書・技術報告書 フリー

    南大東島の洞窟地下水においてダイトウコオイエビ Halosbaena daitoensis Shimomura and Fujita, 2009の生息状況と生態に関する研究を行なった.本研究期間中に南大東島の計13箇所の洞窟(16調査地点)の地下水域にて調査を行った結果,5洞窟(計8調査地点)にて本種の生息が確認された.これらの調査地点のうち,本研究で新たにダイトウコオイエビの生息が確認された洞窟地下水は,4洞窟(7調査地点)であり,本種の分布は南大東島の北部と南部の広範囲に点在する洞穴地下水域に及ぶことが明らかとなった.また,ダイトウコオイエビの生態を明らかにするため,2019年12月~2020年11月までの毎月,南大東島北東部に位置する“洞窟A”において採集調査を実施し,当該洞窟において本種の生息が周年確認できることが明らかとなった.しかしながら,本種の抱卵個体を得ることはできず,本種の繁殖生態については未だ不明である.

  • 井口 恵一朗, 久米 元, 坪井 潤一, 米沢 俊彦
    原稿種別: 第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内研究助成
    2021 年 30 巻 p. 57-63
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/09/30
    研究報告書・技術報告書 フリー

    絶滅が危惧される奄美大島産リュウキュウアユについて,2019年5月時点で過去最低の溯上個体数を記録したため,近年の来島数が増加傾向にあるカワウによる捕食の防除が喫緊の課題として浮上した.リュウキュウアユの産卵親魚の保護を目的に,本種の産卵期間を通じて,河道直上に複数の黒いナイロン糸をはりめぐらせる「テグス張り」を実施した.その結果,川床にはリュウキュウアユの産着卵が観察され,翌年の溯上量も例年の変動の範囲内に収まった.このことから,奄美大島における「テグス張り」は,リュウキュウアユをカワウの食害から回避させる手法として,その有効性が実証された.

  • 杉本 太郎, 貞國 利夫, 今井 駿輔
    原稿種別: 第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内研究助成
    2021 年 30 巻 p. 64-71
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/09/30
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    釧路湿原周辺には在来種であるクロテン(Martes zibellina)と,同じ生態的地位であるイタチ科の外来種であるミンク(Neovison vison)が生息している.ミンクの分布拡大によるクロテンへの影響はよくわかっていないが,クロテンの保全のためには両種の生息状況を把握することが重要である.本研究では,糞試料を用いて釧路湿原周辺のクロテンとミンクの分布と生息地利用を明らかにすることを目的とした.2019年11月から2020年9月にかけて99個の糞試料を採集し,ミトコンドリアDNAに基づく種判定を実施した(クロテン24個,ミンク12個,キツネ36個,不明27個).湿原より離れた森林域でクロテンの糞が,湿原内及び湿原に近接した場所でミンクの糞が発見される傾向がみられた.限られたサンプル数ではあるが,生息環境では湿原面積,森林面積,標高において種間で有意差が見られた.本研究から両種の分布の一端を解明することはできたが,今後さらに詳細な分布の解明や種間関係に関する研究が必要である.

第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内活動助成
第30期プロ・ナトゥーラ・ファンド助成 国内活動助成 地域NPO枠
第4期協力型助成 国際的プログラムに関する助成
  • 中静 透, 石田 清, 蒔田 明史, 石橋 史朗 , 赤田 辰治, 神林 友広, 齋藤 宗勝, 松井 淳, 神 真波, 中山 隆志, 平川 ...
    原稿種別: 第4期協力型助成 国際的プログラムに関する助成
    2021 年 30 巻 p. 102-111
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/09/30
    研究報告書・技術報告書 フリー

    白神山地世界遺産核心地域に分布する典型的でかつ構造の異なる3つのタイプのブナ林について,動態と更新に関するモニタリングを1999年から行っている.調査は,研究者,地域市民ボランティアや学生ボランティアにより行われており2020年で22年目となる.2019-2020年度も調査を継続したが,2020年は新型コロナウィルスの感染拡大により調査を縮小した.20年間で胸高断面積は増加していたが,森林構造の変化はプロットごとに異なっていた.また,2018年には2000年以来最大と考えられるブナの種子生産があり,2019年には大量の当年生実生が発生した.種子生産量,実生発生量ともに,標高の低い場所では少ない傾向があった.モニタリングの長期継続のために,設定の見直しやマニュアル改訂,新規参加者の募集などを行った.

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