南大東島の洞窟地下水においてダイトウコオイエビ Halosbaena daitoensis Shimomura and Fujita, 2009の生息状況と生態に関する研究を行なった.本研究期間中に南大東島の計13箇所の洞窟(16調査地点)の地下水域にて調査を行った結果,5洞窟(計8調査地点)にて本種の生息が確認された.これらの調査地点のうち,本研究で新たにダイトウコオイエビの生息が確認された洞窟地下水は,4洞窟(7調査地点)であり,本種の分布は南大東島の北部と南部の広範囲に点在する洞穴地下水域に及ぶことが明らかとなった.また,ダイトウコオイエビの生態を明らかにするため,2019年12月~2020年11月までの毎月,南大東島北東部に位置する“洞窟A”において採集調査を実施し,当該洞窟において本種の生息が周年確認できることが明らかとなった.しかしながら,本種の抱卵個体を得ることはできず,本種の繁殖生態については未だ不明である.
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