放射線防護分科会会誌
Online ISSN : 2432-6526
Print ISSN : 1345-3246
汎用イメージスキャナを用いたGAFCHROMIC MD-55 Dosimetry Mediaの線量測定に関する検討
山内 光利富永 孝宏中村 修
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2002 年 14 巻 p. 18-

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抄録

【目的】 MD-55の被曝線量測定は、一般に専用の光学的濃度測定ユニット(波長671nm使用)を用いて求めるが,広範囲の濃度分布を一度に測定できないことなどから,本稿では汎用イメージスキャナを用いてスキャンし,MD-55の光学的濃度を画像ピクセル値に変換後にその値と被曝線量との関係を検討した. 【MD-55の基本性質】・光の波長671nm付近に吸収ピークを持ち,その波長を用いた光学濃度測定値のレスポンスが高い.・短時間ならば,適当に明るい場所に於いて取り扱いが可能.・フェーディングやカブリが少ない・2Gy付近から数十Gyまで使用可能である.・照射後,安定した濃度値を得るまでに十数時間以上待つ必要がある. 【方法】本学に設置してある三菱製リニアック(6MV X線)を用いて,照射野10×10cm,SAD=100cmの条件でMD-55に照射した.またそれぞれの照射条件下での被曝線量の校正にはJARP型線量計を用いた.次に,光学濃度測定器としてコニカ光学濃度計PDA-65を用い,EPSONイメージスキャナGT-9500で読み取ったピクセル値との相関関係を調査した.(今回の測定に関しては,照射後24時間経過して各測定を行った.) 検証項目として,(1)「イメージスキャナ読み取り時の透過光と反射光による違いについて」(2)「線量率の違いにおけるMD-55の光学的濃度と平均ピクセル値との関係」(3)「イメージスキャナ読み取り時の解像度の違いによる影響」(4)「スキャナ読み取り時のROIの大きさとその平均ピクセル値との関係」画像解析ソフトは,インターネット上にてフリーに入手できるScion imageを用いた. 【結果】(1)MD-55のスキャナでの読み取りは,透過露光ユニットを用いるのが適当である.線量に対するピクセル値との関係はグラフが一様に上昇していくこと確認される.(図1)(2)リニアック出力の線量率を変化させ,それぞれ1000MU照射した.リニアック出力の線量率には殆ど影響を受けていないことが確認される.(図2)(3)解像度の違いによる差異は殆ど見られない(図3)(4)マウスを用いて矩形ROIを設定し,その平均ピクセル値を測定した.低線量域から高線量域まで,ROIの大きさによる影響は殆どないこと確認される.(図4)【考察・結語】汎用イメージスキャナを用いても,透過露光スキャンで読み取ったピクセル値を調べることにより,MD-55の被曝線量を測定することが可能ではないだろうかただし,絶対測定が可能であるかに関しては,スキャン時にスキャナ本体で任意に256階調に変換されてしまう影響や,またスキャナCCDの安定性の問題などが挙げられる.[figure][figure][figure][figure]

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© 2002 公益社団法人日本放射線技術学会
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