放射線防護分科会会誌
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CT被曝線量測定の基礎的検討
佐藤 ふじ子宇佐美 公男山田 浩司浅井 義行宮田 嘉枝子倉又 雄一中西 順子喜多 香由子若江 祐子本田 章子黒川 敏昭
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2002 年 14 巻 p. 22-

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抄録

[目的]CT検査の被曝線量測定については、一般撮影系とは違ったX線の入射過程やヘリカルピッチに関係した線量分布の不均一性など測定上問題となることが多く、患者被曝評価を困難にしている。また、使用する測定器(CT用チェンバやTLDなど)によっても測定値が違い、各施設それぞれの方法で被曝評価を行っているのが現状と思われる。今回、CT用チェンバ(10cm長)とTLDを用いファントム実験での測定値を検討し、患者被曝を測定するための基礎的検討をおこなった。〔方法〕CT装置東芝Aquilionを使用し、直径20cmのアクリルファントムにCT用チェンバ(PC-4P:キャピンテック)とTLD(UD-170L)を挿入して、スライス厚1mm、3mm、5mmでそれぞれヘリカルピッチ3、4.5、5.5と変化させ測定を行った。この際、TLDによる測定は素子をPC-4Pのアクリル外套内に挿入しPC-4Pによる測定と同一条件下で行った。比較した測定値はTLD各素子から求めた平均吸収線量とPC-4Pの測定値を電離長で除した値から求めた照射線量を吸収線量に変換した値を使用した。また、TLDによる測定では平均吸収線量からの線量値の変動も測定した。【結果・考察】1.各TLDの測定で得た結果は各素子の平均値から約±12%でばらついた。これは各素子のもつ誤差とCTの線量プロフィールに由来した結果と考える。(Fig.1 ヘリカルピッチ3の場合を示す)2.線量分布の不均一性についてはファントム表面でのCR画像から得た視覚的な線量差ほど測定値に差が感じられなかった。これは測定位置がファントム中心であったためと考えるが、更に検討が必要である。(FiG.2) 3.CT用チェンバとTLD測定値の比が1.08倍となる要因として線量計の形状から生じる散乱線の測定範囲の違いが考えられる。また、測定する位置により両者の比率が変化することが考えられる。(Fig.3) 4.ファントム内の線量測定値が測定位置により約17%変化することより被曝線量の測定位置を決定することは問題の一つとなる。(Fig.4) 【結語】CTの線量の不均一性を考慮し、TLD測定値から得た平均線量はCT用チェンバの測定値の結果などから患者被曝線量を評価する上での指標となりうると考える。[figure][figure][figure][figure]

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© 2002 公益社団法人日本放射線技術学会
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