放射線防護分科会会誌
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CT検査時の患者表面線量分布の測定 第3報 : 検査時の測定
福居 壽人富永 正英安友 基勝勘野 博明八木 浩史
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2002 年 14 巻 p. 21-

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抄録

【目的】基礎実験において患者にフィルムを巻いたことにより,CT値の変化は臨床画像に影響される様な変化はなく,またフィルムを透過した際でのX線の減弱率は約2%程度であった。以上のことより,第1報で提案した手法によって、臨床検査時での患者表面線量分布の測定が可能である。よって提案手法により,臨床での測定結果を検討し、有効性について考察する。【撮影プロトコル】SDCT装置I:120kV/80mA,1cmスライス,1sec/rot,1cm/rot SDCT装置II:120kV/250mA,1cmスライス,1sec/rot,1cm/rot,2回螺旋スキャン SDCT装置III:120kV/オートmA機能,1cmスライス,1sec/rot,1cm/rot,MDCT装置I:120kV/370mA,0.75cmスライス,0.8sec/rot,1.5cm/rot,3ピッチ【結果】・表面線量分布は、最高値が最低値の約1.7倍の値となった。・管球の高容量化による管電流(mA)の差により、患者皮膚面での被曝線量に差が出た。・オートmA機能は、被曝線量低減の観点から、有用な手法であるといえる。〔以上Fig 1より〕・MDCTとSDCTの患者の表面線量分布の形態は異なった。・患者皮膚面における微小領域に着目すると、SDCTよりもはるかに被曝が多い領域が確認された。〔以上Fig 2より〕【考察】被検者の皮膚表面位置での線量分布を測定することを目的に検討を行ってきたが、撮影条件に(SDCTとMDCTとオートmA)よって線量分布が異なった。同一の撮影条件においても、被検者の体厚によって線量分布が異なる事が確認された。〔Fig3〕また、同一の撮影条件において検査されたほぼ同じ体厚での、胸部の検査時の表面線量は、腹部の値と異なった。〔Fig3〕この事より、被曝線量の指標として用いられているCTDI値が同じでも、被検者の体厚や検査部位が異なれば、被検者の被曝が異なる。よって、本手法のような検査時の被曝を直接測定できる手法が患者被曝の測定という観点からは非常に有効であると考える。[figure][figure][figure]

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© 2002 公益社団法人日本放射線技術学会
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