日本古生物学會報告・紀事
Online ISSN : 2186-0955
Print ISSN : 0031-0204
ISSN-L : 0031-0204
1. 關東地方洪積統産の二, 三の軟體動物
大炊御門 經輝
著者情報
ジャーナル フリー

1935 年 1935 巻 1 号 p. 1-4_2

詳細
抄録

英文欄に記載した四種の中 Mysella paula (A. ADAMS) は鈴木, 高井兩學士に依る千葉縣多古町附近の洪積層からの報告があり, Nassarius gemmulatus (LAMARCK) は神奈川縣長井町大木根から鈴木學士に依つて報告されてゐるが, 他の二種Mactra dolabrata REEVE及びSearlesia simosensis n. sp. は未だ關東地方の洪積層から知られてゐなかつた。
Searlesia simosensisS. fuscolabiata (SMITH) に比べて螺層はあまり脹れず, 殻口は狭い。S. hokkaidonis (PILSBRY) に似てゐるが殻は該種の様に細長くなく, 螺塔は低い。S. japonica YOKOYAMAは本種より殻が頑丈で, 螺状彫刻が一層顯著である。
S. simosensisを除いた他の三種は何れも現生種で, 特にN. gemmulatus (LAMARCK) の分布は廣く珍らしいものではないが, 關東地方の洪積層の化石では稀な方である。

著者関連情報
© 日本古生物学会
次の記事
feedback
Top