1982 年 1982 巻 126 号 p. 341-355
高知県東部, 物部地域の下部白亜系物部一柚ノ木層(バレミアン)産のウニ化石についてHeteraster 3種, 新属1新種を, 上部白亜系楮佐古層中部(サントニアン)産のものについてEpiaster 1種を識別し, 古生物学的記載を行った。新種は柚ノ木層(バレミアン上部)から産し, これに対して新属を提唱し, Pseudowashitaster mysticusと命名した。このものは, 関東山地山中地溝帯の石堂層や和歌山県湯浅地方の有田層(いずれもバレミアン)からも産する。新属は, 特に単一の周花帯線の発達, かなり幅狭い前対歩帯, 前歩帯における対孔の性質によって外見上類似するWashitasterやHeterasterとは区別され, Hemiasteridae科に属する。現在までの所, この新属は模式種と後記の1種からなり, さらに本属におそらく同定される1種が熊本県八代地方の日奈久層(アプチアン)からもみいだされる。