2026 年 65 巻 p. 19-40
国連の権威は、武力紛争の激増・深刻化に対応できず低下した。PKOは過去10年の間に予算・要員を大幅に減少させた一方、紛争と犠牲者は増加している。拒否権が乱発されている一方、憲章51条の個別・集団的自衛権も濫用されている。同時に、人道・開発援助の資金も大幅な減少を見せ、危機が拡大している。ただしこれらは、国連が抱える制度の内側で起こっていることだ。国連は大国間戦争の予防を最優先させる性格を持っている。財政危機は、米国の現政権の政策によるものだけでなく、伝統的なドナー諸国の低成経済長や財政赤字という構造的事情を反映している面もある。急進的な国連改革を模索できる状況ではなく、現状では、原則遵守を徹底し、拒否権・自衛権の逸脱を抑えることに焦点をあてた、地道な外交努力に軸足を置く方向性が模索される。