蛍石の超精密切削

―（第3報）被削材の結晶方位による影響―

抄録

蛍石（単結晶フッ化カルシウム，CaF2）は，真空紫外から赤外領域までの優れた透過性と波長による異常分散特性をもつため，広範囲な領域での光学素子として用いられている．しかし現在，蛍石の超精密加工はポリシングに依存し，非球面やフレネルレンズなどの加工が困難である．そこで本研究では，単結晶ダイヤモンドバイトを用いて蛍石を切削し,高品質な光学表面を直接創成することを試みた．本報では，被削材の結晶方位が微視的な切削機構へ及ぼす影響について述べる．