抄録
多数の工具と工程を必要とする工作物の機械加工では,加工時間,加工コスト,消費動力などの生産性に関わる因子は加工順序によって変化する.マシニングセンタによる加工での上記の因子を含む加工工程設計支援システムの開発を目的として,最短経路問題の解法を利用した支援システムが前報で提案された.このシステムでは,工具と工作物間の幾何学的干渉,前加工が無効になる加工順序の回避や工程集約の機能が考慮されている.本報告では,巡回セールスマン問題の解法を利用することによって,多数の穴をもつ工作物の穴あけ加工での最短経路の解析が可能にされている.解析結果とオペレータによって設計された結果との比較から,解析結果が妥当であることが確認されている.