抄録
本稿では,SiC材料のマルチワイヤ放電加工について述べる.筆者らはこれまでにSiC材料に対する10並列放電加工を適用し,ワイヤが断線することなく薄板を製造できることを確認している.更なる生産性向上を目指すには多並列化が有力な方法であると考えられる.しかし,多並列化に伴う加工速度の低下やワイヤ消耗による加工精度の低下などが懸念されるため,マルチワイヤ放電加工の生産性を考える上では並列放電現象の確認とワイヤ消耗の影響を検討することは重要な意味を持つ.そこで,マルチワイヤ放電加工の加工現象をハイスピードカメラで撮影し並列放電現象を確認した.また厚さ100 mm のSiC 材料に対して速度80um/minにて切断長約100mmを40並列放電加工できた.加工した溝の幅は,平均208um,加工溝ごとの溝幅のばらつきは11umであった.