主催: 公益社団法人精密工学会
会議名: 2018年度精密工学会秋季大会
開催地: 函館アリーナ
開催日: 2018/09/05 - 2018/09/07
p. 84-85
フッ素エラストマーは、耐熱性や耐油性に優れているために、Oリングなどのシール材として利用されてきた。Oリングの品質は、作業者の技能に依存する部分が多く残されている。そのため、製品の局部的な強度低下や外観不良などに対しては、技能者の試行錯誤に基づく抑止対策が実施されていることが多く、抜本的な解決策が講じられていないのが実状と言える。粘度特性などの基本物性に関しては、各種試験機により蓄積されつつあるものの、その一方で、圧縮成形過程における金型内のフッ素エラストマーの溶融から流動、硬化の一連の現象が明らかにされていないこと、すなわち、フッ素エラストマーの圧縮成形加工現象の実証的な解明が遅れていることが、上記の主な原因と考えられる。そこで、本研究では、電磁誘導加熱・冷却圧縮成形金型と着色マーキング法とを用いて、金型内におけるフッ素エラストマーの溶融から流動、硬化の一連の挙動について検討を行った。その結果、フッ素エラストマーの予備成形体を金型内にセットしてから圧縮を開始するまでの経過時間が、樹脂流動と硬化の挙動に影響を及ぼすことを明らかにした。