精密工学会学術講演会講演論文集
2021年度精密工学会秋季大会
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不規則配向短繊維複合材料に対する画像処理に基づく繊維長の測定
*Wang Siqi谷田川 達也鈴木 宏正大竹 豊
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p. 9-10

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抄録

さまざまな繊維強化複合材料の中で、ランダムに配向した短繊維(Random Chopped Short Fibers: RaFCs)は、製造の容易さ、複合材料の形状の柔軟性、および軽量で高剛性であるといった優れた材料特性により、最も一般的な複合材料である。RaFCsのこれらの特性は、複合材料内の繊維の長さと分布に強く影響される。X線透過画像のみを使用して個々の繊維の長さと位置を区別することはその必要性を高めつつあるが、繊維の長さと分布をすることは依然として困難である。主な問題は、繊維の幅が一定でないことと、繊維が幾度にも重なり合うことである。以上の問題を解決するために、本報告では、繊維として人間の髪の毛を用いて繊維をトレースし位置を決定する、決定する新たなソフトウェアシステムを提案する。 RaFCsに以前の方法を適応するために、本システムは従来のガボールフィルタを拡張する。さまざまな繊維形状に適合するように局所的に最適なパラメーターの組み合わせを探る。この最適化されたフィルターを使用すると、RaFCsの個々の繊維の位置と方向をより堅牢に抽出することができる。次に、常微分方程式の初期値問題を解くことにより、個々の繊維をトレースする。本手法では繊維の交差点で発生する誤トレースを回避するために、最初に繊維の交差しない部分のみをトレースする。その後、端点の近接度と方向を使用して交差点によって途切れた繊維同士を接続する。さまざまな繊維試料での実験を行い、繊維トレースの安定性と繊維長計算の頑健性を示した。本システムは、X線Talbot-Lau干渉計によって撮影された炭素繊維強化熱可塑性樹脂 の複雑に折り重なった繊維のX線放射線画像に対しても適切に機能することが分かった。

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© 2021 公益社団法人 精密工学会
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