抄録
作業療法の臨床現場には,日々,記録として膨大な情報が蓄積されている.しかし,それらの多くは十分に活用されず,個々の経験にとどまっていることが多いのではないだろうか.本稿では,この臨床データを「臨床知を磨く視点」として捉え,その具体的な活用法を概説する.まず,記録を構造化し,他者と共有可能な資源へ変換する手法を示す.次に,データの可視化によって作業療法の意義を顕在化し,個々人の反応の違いから仮説を立てる臨床推論の展開を解説する.さらに,治療効果の異質性を捉える分析手法を取り上げ,平均効果では捉えきれない個々人への介入の最適化を論じる.