抄録
臨床現場において乗馬フィットネス機器ジョーバ(NaiSジョーバ,松下電工製)を用いてその効果を検討する機会を得たので報告する。対象は本研究の主旨を説明し同意を得た脳血管障害者7症例と大腿骨頸部骨折患者4症例の合計11症例(平均年齢74.4±10.6歳)としジョーバ使用前後のバランス能力を重心動揺計,Timed up and go test(以下TUG)を測定することで比較検討した。またBerg Balance Scale(以下BBS)を使用して事前評価を行い,56点満点中45点以上の群と45点未満の群で分類し各測定項目を比較検討した。ジョーバ使用前後の結果は対応のあるt検定(p<0.05)によって統計処理し,関連性について調査した。結果,ジョーバ使用直前直後で全対象者においてTUG,単位面積軌跡長(閉眼時)に有意な改善がみられた。このことからジョーバの使用は迷路系および固有感覚受容器や下肢筋,体幹筋に作用しバランス障害や歩行,ADLの改善に有効と考えられた。