理学療法 - 臨床・研究・教育
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早期公開論文
早期公開論文の10件中1~10を表示しています
  • 長谷川 晴大, 鈴木 健太, 溝口 靖亮, 木村 文彦
    論文ID: 2026-09
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    【はじめに】関節リウマチ(RA)患者の身体機能,日常生活活動(ADL)向上に対する薬物療法,運動療法,物理療法の併用効果を検討した。【症例記述】60歳代女性。過負荷な自主トレーニングにより両遠位指節間関節に波及する疼痛,ADL低下を認めた。初期評価ではCRP 8.78 mg/dL,NRS 10/10,DASH 95点であり,外来リハビリテーションを週1回行った。8週後,CRP 1.42 mg/dL,NRS 2/10,DASH 77点と改善し疼痛軽減,身体機能・ADLの改善を認めた。【考察】薬物療法,運動療法,物理療法の併用が,今回のRA患者の疼痛や機能改善に有効であったことが示唆された。さらに適切な負荷量設定が疼痛軽減の一因として考えられた。【まとめ】RA患者に対し薬物療法,運動療法,物理療法の併用に加え運動療法における負荷量設定は疼痛軽減,身体機能向上に向け重要な役割を果たすことが示された。

  • 宮原 拓也, 高島 恵
    論文ID: 2026-10
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】臨床実習における下肢装具の見学・体験機会について指定規則改正前後の変化を明らかにすることを研究目的とした。【方法】対象は3年制養成校1施設で2019年から2023年に評価実習・総合臨床実習に参加した学生188名とした。調査内容は年齢,性別,主に関わった病棟・施設,下肢装具に関する見学・体験内容,必要と感じた下肢装具の知識・技術,装具への興味ときっかけとした。解析はのべ396名の結果を使用した。COVID-19の影響を加味して,改正前群,感染症期群,改正後群の3群を比較した。【結果】見学では長下肢装具に関連する項目やダブルクレンザック継手の調整が改正後群で高値を示し,体験ではリングロック膝継手の使用等が改正後群で高値を示した。興味のきっかけでは,今回の実習と回答したものが改正後群で高値を示した。【結論】見学・体験機会が指定規則改正後に高値を示したが,一部の項目のみであったことは今後の課題と考えられる。

  • 内尾 優, 澤野 花穂, 猪飼 哲夫
    論文ID: 2026-07
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/07/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    【はじめに】新生児集中治療室入院中から継続して理学療法介入した18 トリソミー症候群の症例について報告する。【症例記述】0 歳女児,18 トリソミー症候群の診断。新生児集中治療室入院中より理学療法を開始し,ポジショニング,関節可動域運動,感覚運動経験を行った。修正月齢6 か月において関節可動域は改善し,手で口に触るなどの自発的な動きがみられるようになった。その後,多職種にて人工呼吸器を含めたベビーカーへの移乗方法やポジショニングを検討し退院,外来移行となった。【考察】新生児集中治療室の早期から理学療法介入することで関節可動域制限の改善や発達の促進に寄与したと考えられた。また多職種により環境調整を行うことで円滑な在宅移行に至った。【まとめ】18 トリソミー症候群に対する新生児集中治療室からの理学療法介入や発達経過について示した。本報告は,18 トリソミー症候群の早期からの介入方法検討の一助となると考える。

  • 二瓶 孝太, 永田 詩織, 曽根 賢太, 川端 空, 高須 千晴, 押田 竜河, 眞下 葵, 小島 拓真, 寺田 秀伸, 村田 健児
    論文ID: 2026-08
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/07/18
    ジャーナル フリー 早期公開

    微小重力環境が前十字靭帯(以下Anterior Cruciate Ligament:ACL)由来線維芽細胞に及ぼす影響を検証するため,リアルタイムqPCR 法による靭帯構成因子の発現と線維芽細胞の増殖・細胞形状の観察的解析から調査した。結果,ACL 由来線維芽細胞を微小重力環境に72 時間暴露すると,細胞形態を紡錘状から円形に変化させ,細胞増殖能力を低下させた。また,微小重力環境の暴露によって,靭帯の強度および柔軟性を保つCo1a1Col3a1Eln mRNA の発現を有意に低下させた。この結果は,ACL 由来線維芽細胞へのメカニカルストレスが低下する微小重力環境では,靭帯の強度や柔軟性に影響を及ぼす遺伝子変化をもたらす可能性がある。

  • 鍛治 宏宣, 兵頭 甲子太郎, 新井 武志, 藤井 仁
    論文ID: 2026-01
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】回復期リハビリテーション病棟退院後の外出頻度に関する調査を行い,入院時理学療法評価と外出頻度,閉じこもりとの間にどのような関連があるか調査した。【方法】院内での屋内歩行が自立した65 歳以上の患者54 名を対象とした。入院期間中に身体的・精神的・社会的側面に関する評価を実施し,退院後にアンケートにて外出頻度を調査した。外出頻度の調査結果から週の外出頻度が1 回以下を閉じこもりと定義し,各評価結果との関係性について二項ロジスティック回帰にて解析した。【結果】54 名の内31%に当たる17 名が閉じこもり状態であった。二項ロジスティック回帰の結果,閉じこもりと最大歩行距離,FIM との間に相関関係が確認された。【結論】今回の調査により,院内での歩行が自立した患者でも閉じこもり状態となる者がいることが明らかとなった。入院中の最大歩行距離,FIM の評価は退院後の外出状況を予測する上で重要な評価となりうる。

  • 脇 遼太朗, 楠本 泰士, 加藤 愛理
    論文ID: 2026-02
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】歩行可能な脳性麻痺患者における股関節筋解離術前後の歩行パターンを年齢別に比較し,年齢による術前後の経過の違いについて明らかにすることとした。【方法】対象は股関節筋解離術を施行した粗大運動能力分類システム(以下,GMFCS)レベルI・II の脳性麻痺患者14 名とした。手術前と退院時にEdinburgh Visual Gait Score(以下,EVGS)の評価を行い,総EVGS スコアと各関節のEVGS スコアに対して,術後経過と年齢による反復測定二元配置分散分析にて検討した。【結果】総EVGS スコア,足・膝・股関節のEVGS スコアにおいて術後経過に主効果を認めた。【考察】GMFCS レベルI・II の脳性麻痺患者では年齢に関係なくEVGS スコアの改善が見られた。今回の結果からGMFCSレベルI・II の対象では年齢に関係なく股関節筋解離術後に歩行パターンの改善が見られる可能性が示唆された。

  • 脇 遼太朗, 楠本 泰士, 加藤 愛理, 宮本 清隆
    論文ID: 2026-03
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    【はじめに】脳性麻痺児の歩行パターンを高価な機器を用いずに評価する方法として,Edinburgh Visual Gait Score(EVGS)がある。今回,EVGS を用いて歩行パターンを評価し、理学療法プログラムの立案・介入を行い歩行能力が変化した脳性麻痺の症例を報告する。【症例記述】本症例は7 歳男児,粗大運動能力分類システムレベルⅡの脳性麻痺児である。歩行能力の向上を目的としてEVGS を用いて歩行パターンの評価を行った。EVGS を中心とした評価結果を基に歩行パターンの問題点及びその原因と推察される機能障害に対し理学療法介入を実施した。その結果,歩行パターン及び歩行速度,歩行持久力,日常場面の移動能力,筋力に変化が見られた。【考察】EVGS を用いて歩行パターンの評価を行い,歩行の特徴に応じた理学療法介入を実施したことで,歩行能力の変化に繋がったと考える。

  • ―健常若年女性を対象に主観的アンケート調査を実施した予備的研究―
    酒井 美園, 戸島 美智生, 井上 剛伸
    論文ID: 2026-04
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】高齢化社会における老老介護の増加に伴い,介護者への負担が小さくなる車椅子操作の実現が求められる。本研究では,ティッピングレバーの長さと高さの位置を調整することで,健常若年成人のキャスター上げ動作における身体への負担度の変化を明らかにすることを目的とした。【方法】作製したティッピングレバー位置の可変装置を用い,健常若年女性が車椅子のキャスターを10 cm 上げた時の負担度をアンケートで調査し,統計学的に検討した。【結果】作製したティッピングレバー位置の可変装置は,床との干渉なく,規定の高さまでキャスター上げができることを確認した。また,ティッピングレバー位置の調整において,その位置を低くすることより後方へ長くすることで,主観的負担度が有意に減少した。【結論】ティッピングレバー位置の違いで介護者への主観的負担度を減らすことができ,力の弱い高齢介護者に適応できる可能性が示唆された。

  • ―術後の一時的な歩行能力低下からの回復日数の調査より―
    花町 芽生, 阿部 広和, 白子 淑江
    論文ID: 2026-05
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,脳性麻痺児に対する選択的脊髄後根切断術(SDR)後の歩行能力回復に影響を及ぼす因子について調査した。対象は2021 年から2024 年までの間にSDR を受けた歩行可能な脳性麻痺児30 例であり,切断率,術前の運動能力,手術時の年齢や理学療法の内容などの因子が歩行再獲得までの日数に及ぼす影響を分析した。結果,切断率が高いほど歩行再獲得までの日数が増加し,術前の運動能力評価(GMFM)が高いほど歩行再獲得の日数が減少することが明らかとなった。提供された理学療法は活動を主体とした内容で概ね同程度の頻度,量であった。本研究は,SDR 施術後の歩行を課題とした理学療法の立案に役立つ貴重なデータを提供している。

  • 池田 尚也, 藤井 祐貴
    論文ID: 2026-06
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】本研究では回復期リハビリテーション病棟に入院した,脳卒中患者を対象に体幹筋量と起き上がり動作獲得可否の関連性を調査した。【方法】退院時の起き上がり動作獲得可否に基づき,患者を起き上がり獲得群と非獲得群に分類した。ロジスティック回帰分析を用いて,入院時の体幹筋量が退院時の起き上がり動作獲得の予測因子であるかどうかを検討した。さらに,起き上がり動作獲得可否に関連する因子のカットオフ値を算出した。【結果】合計174 人の患者(男性:92 人,女性:82 人)が研究に組み入れられた。ロジスティック回帰分析の結果,起き上がり獲得に関連する因子は体幹筋量であった。入院時の体幹筋量のカットオフ値は男性で6.32 kg/m2,女性で5.92 kg/m2であり,退院時の起き上がり獲得可否を区別する際の体幹筋量の曲線下面積は,男性で0.82,女性で0.83 であった。【結論】脳卒中患者における入院時の体幹筋量は退院時の起き上がり動作獲得と有意に関連していた。入院時の体幹筋量が男性で6.32 kg/m2,女性で5.92 kg/m2以上であれば,退院時に起き上がり動作が獲得できる可能性が示唆された。

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