抄録
高齢者は,軽度な疾病によっても容易に廃用症候群を来すとされているが,内部疾患など身体機能に重大な障害を来さない疾患に起因した安静による廃用症候群の場合はリハビリテーション(以下リハ)の専門家によりチェックされていないことがある。本研究の目的は,内部疾患に起因した安静による廃用症候群対象者2症例に対して訪問リハを行い,介入の方法とその効果を検討することである。2症例とも80歳を超える高齢者であり,内部疾患に起因した安静期間は1ヶ月以内であったが,長時間端座位保持困難で寝たきりに近い状態となった。介入早期から,家族・介助者指導および環境調整を行い,積極的に離床・日中座位保持を促し,外出・通所サービス利用開始へとつながった。本研究の結果から,内部疾患による廃用症候群に対する訪問リハは,著明な効果が期待されることが示唆された。