理学療法 - 臨床・研究・教育
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研究と報告
理学療法士における妊娠経過の実状
―就労継続するための条件とは―
荒木 智子河合 麻美中邑 まりこ奥住 彩子飯高 加奈子板垣 美鈴山田 紀子市川 保子
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キーワード: 妊娠, 職場環境, 就労継続
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2012 年 19 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

理学療法士(以下PT)における妊娠経過に関する報告は数少ない。本研究ではPTを対象に妊娠経過,それに伴うトラブルへの対応について調査を行った。妊娠の経験回数は平均2.08回だった。妊娠経過は48名中32名(66.6%)が「問題があった」と回答し,内訳は重度悪阻,貧血,妊娠高血圧症候群,切迫流産,切迫早産,流産,早産であった。初回妊娠で問題があったのは31例(64.5%)で,問題があった妊娠回数は平均1.14回であった。対応は業務の軽減,休暇を利用した一方,通常業務の継続,退職したという回答もあった。また,妊娠・出産を理由に退職したのは13名(27.6%)だった。対象の6割に妊娠中のトラブルの経験があり,その対応も様々であった。また業務軽減・配慮は7割を超える施設で行われており,その制度の活用については今後さらに相互理解をすることで可能になると考えた。妊娠・出産を健やかに経験し,就業継続できる環境整備はPTの質の向上にも寄与できると考える。

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© 2012 社団法人 埼玉県理学療法士会
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