理学療法 - 臨床・研究・教育
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症例検討
車いす乗車時の殿部痛軽減に対する姿勢改善の効果
―脳卒中片麻痺患者一例を通して―
下池 まゆみ井上 悦男吉田 志保武川 真弓
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キーワード: 脳卒中, 座位姿勢, 殿部痛
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2012 年 19 巻 1 号 p. 54-57

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抄録
今回,車いす乗車時の不良姿勢から非麻痺側の殿部痛が生じた脳卒中左片麻痺患者を経験した。殿部痛の原因は,車いす乗車時に股関節周囲筋の筋緊張低下が不良姿勢を生じさせ,非麻痺側下肢で駆動する際に骨盤の固定ができず非麻痺側坐骨部が擦れ,崩れた姿勢が持続するためと考えた。さらに姿勢の修正が困難なことにより崩れた姿勢のままで駆動し,駆動のたびに殿部が前方へずれるという悪循環となっていた。そこで姿勢の改善,非麻痺側坐骨部の疼痛軽減を目的に,車いす駆動を想定した膝屈曲運動や骨盤前傾運動などの運動療法,車いす乗車時に頻繁に殿部を動かすように除圧指導,車いす上で姿勢を崩れにくくするための車いすの設定変更を行い,若干の改善がみられた。したがって,姿勢改善や殿部痛軽減には運動療法を行ったうえで除圧指導,車いすによる座位調整の必要があると考えられた。
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© 2012 社団法人 埼玉県理学療法士会
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