抄録
理学療法において,運動の計測は重要である。現在の臨床においてその主な方法論は観察であるが,理学療法効果のエビデンス構築のための科学的な評価手法として,機器を用いた定量的な運動計測は欠かせない。運動計測機器のゴールドスタンダードは光学式3次元動作解析装置であるが,臨床への応用は未だ容易ではない。近年,計測技術の発達により,安価で簡便に使える計測機器の開発と実用化が急速に進んでいる。それらは,前述の機器に比べて臨床への高い応用可能性を持つが,まだいくつかの課題も残っている。本稿では,理学療法の臨床に応用が可能な運動計測のための機器として,著者が使用経験のあるハイスピード撮影機能付きデジタルカメラ,慣性センサ(Inertia sensor),深度センサ付きRGBカメラ(RGB-D sensor)の3つを取り上げ,それらの特徴や使用方法を解説するとともに,臨床で用いる際の注意点などを簡単に整理して情報提供する。