抄録
【目的】震災等の災害時において,要介護高齢者の屋外避難対策が必要とされている。本研究では,災害時避難方法の認識,想定状況,不安要因について要介護度別に実態を明らかにすることを目的とした。【方法】対象者はA県内の通所・訪問リハビリテーションを利用する要介護高齢者175名とした。調査方法は,避難方法の認識(4項目),想定状況(1項目),不安要因(2項目)について聞き取り調査を実施した。【結果】避難方法に関する介護度別の特徴について,要介護4・5は避難方法の認識が低く,すべて避難方法未想定であり,主に避難経路・避難動作方法に不安を有した。要支援・要介護1・2は避難方法の認識は高いが,半数は避難方法未想定であり,主に転倒・迅速な動作方法に不安を有した。一方,要介護3は避難方法の認識・想定状況・不安要因ともに絞り込めない特徴があった。【結論】要介護度によって災害時避難における不安要因に違いを認めたことから,それぞれの要介護度に適した指導方法を実施することが重要と考える。