理学療法 - 臨床・研究・教育
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研究論文
腱板断裂患者における後方関節包タイトネスに着目した保存療法の経過
村田 健児
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2021 年 28 巻 1 号 p. 29-34

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抄録

腱板断裂患者において後方関節包のタイトネスは肩峰下に衝突する肩峰下インピンジメントを生じさせる一因である。本調査では,腱板断裂の保存療法において,後方関節包のタイトネスに着目して経過を調査した。3か月以上経過を観察できた128例のうち腱板断裂と診断された患者の保存療法経過を調査し,最終的に男性8肩,女性20肩を対象に可動域,JOAスコアについて理学療法介入前と介入3か月後で比較した。結果,腱板断裂患者は後方関節包タイトネスの改善によってJOAスコア合計,サブスコアの痛み,機能の有意な改善を示した。また,理学療法介入後1年での予後を調査し,手術群13肩,非手術群は15肩の2群比較においては理学療法介入後の3か月後では非手術群でJOAスコア合計,サブスコアの痛み,機能の有意な改善を示した。よって,後方関節包のタイトネスを改善によって腱板断裂患者は3か月後の疼痛と機能の改善をもたらすことが示唆された。

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© 2021 社団法人 埼玉県理学療法士会
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