【はじめに】転倒により左肘関節脱臼骨折,左上腕骨内側上顆骨折を受傷後,観血的固定術とギプス固定期間を経て肘関節完全伸展可動域獲得を目指した症例を経験した。【症例記述】理学療法開始後より関節可動域訓練を行い,術後11週時点で肘関節伸展-10°であった。他動的肘関節伸展で肘頭窩に疼痛が生じ,超音波画像診断装置を用いた評価において肘関節後方脂肪体のインピンジメントが疑われた。その後肘関節後方脂肪体の動態改善を目的とした運動療法を行い,完全伸展可能となった。【考察】超音波画像診断装置を用いた評価により肘関節後方脂肪体の動態不良が肘頭とのインピンジメントの要因となり,肘関節伸展制限の要因であることが推察された。【まとめ】肘関節伸展制限を有する症例に対し,肘関節後方脂肪体の動態に着目した評価,治療は重要であると考える。