日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
糖尿病教育入院における地図を用いた運動指導の 運動への動機づけへの影響と効果
Mizoguchi KatsuraKono KenichiNishida Yusuke
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 1 巻 1 号 p. 31-38

詳細
抄録

【目的】日本人における糖尿病の発症危険因子には身体的活動の低下などがある.身体不活動は死亡に対する危険因子でもあり身体活動の維持・促進は重要である.生態学モデルは身体活動に関する環境要因と心理社会的要因の関係の複雑さを説明している.本研究の目的は糖尿病患者において運動コースの地図を用いた生態学モデルにおける多階層レベルの介入と関係する心理社会的要因を運動への動機づけから検討するとともに,運動コースの地図を用いた指導により,身体活動が促進されるか明らかにすることとする. 【方法】糖尿病教育目的で入院となった患者17名を対象とした.心理社会的要因は運動に対する動機づけの強さ(BREQ-2)を用い,下位項目の点数が相対的に高い項目を各対象の代表的調整スタイルとした.入院期間中に活動量計を使用して身体活動量を測定し,運動コースの地図を用いた指導前後で活動量計の変化を調整スタイルごとに比較した.病院内,病院敷地内の地図を使用し,指導内容としては病棟内,病院内,敷地内の歩行コースを紹介し,各コースの距離,想定される消費カロリーを指導した. 【結果】同一視的調整スタイルの対象患者で運動コースの地図を用いた指導後に有意に身体活動量の増加を認めた. 【結論】運動に対する動機づけの調整スタイルのうち同一視的調整スタイルの対象患者において運動コースを用いた環境要因を取り入れた指導によって身体活動が促進することが示唆された.

著者関連情報
© 2022 日本糖尿病理学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top