日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
1 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • Hirano Yuma, Tsuriya Daisuke, Kono Kenichi, Yamauchi Katsuya, Nagafusa ...
    2022 年 1 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【Background and objectives】Recently, efforts have been made to preserve the kidneys of patients with chronic kidney disease. Among them, patients with diabetic kidney disease (DKD) are attracting attention due to the high rate of dialysis use. Physical activity in patients with DKD is associated with renal function; thus, frequent physical activity is recommended. This requires an analysis of factors related to physical activity to clarify the targets of physiotherapy interventions. Therefore, the purpose of this pilot study was to elucidate factors of physical function related to physical activity in patients with DKD. 【Methods】Patient demographics, physical activity, knee extension strength, and fatigability were evaluated in a cross-sectional manner. Physical activity was evaluated for total physical activity-International Physical Activity Questionnaire (TPA-IPAQ) (kcal/week) using the IPAQ-short version. Knee extension strength and fatigability were evaluated using a muscle function evaluation exercise device. Fatigability was calculated as the rate of the decrease in torque during a dynamic fatigue task. 【Results】26 patients were enrolled in this study and 23 patients (n = 14 men, mean age 56.4 ± 6.3 years) were included in the analysis. As a result of analysis, physical activity was negatively correlated with fatigability alone (r = -0.416, p = 0.049). 【Discussion】This study suggests that fatigability is associated with decreased physical activity, which may also lead to decreased renal function in patients with DKD. Further research on factors related to physical activity, including an analysis of fatigability, is needed to develop exercise management programs to protect kidney functionality.
  • Ishida Takeki, Kono Kenichi, Moriyama Yoshifumi, Yabe Hiroki, Nishida ...
    2022 年 1 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    【背景/目的】透析患者に対する身体活動量の評価は,3軸加速度計を使用した直接的な評価が多いが,その実用性や有用性は限られる.よって,透析中に実施可能な質問用紙による間接的な身体活動量の評価の有用性が必要と推察される.本研究の目的は,間接的な評価による身体活動量と直接的な評価による身体活動量の関係性を調査することである. 【方法】本研究は,単施設でのパイロットスタディであり,外来透析患者27例を対象とした.直接的な身体活動量の評価として3軸加速度計による歩数を評価した.間接的な身体活動量の評価としてInternational Physical Activity Questionnaire (IPAQ short Form, IPAQ-SF)を用いて身体活動強度を評価した.直接的評価を示す歩数と間接的評価である身体活動の関係性を解析した. 【結果】非透析日,透析日それぞれにおいて歩数と身体活動強度の関係性は認められなかった.一方で非透析日の歩数が3700歩以上を示す群にて,非透析日の歩数と身体活動強度に関連性を認めた(r = 0.81, p < 0.05). 【考察】本研究から,非透析日に3700歩以上活動する透析患者において,身体活動量の直接的評価を示す歩数と間接的評価であるIPAQ-SFの関連性を認めた.よって,IPAQ-SFは,身体活動量が高い高齢透析患者に対しての身体活動量の評価に適している可能性がある.
  • Suzuki Keisuke, Koike Takayasu, Kamo Tomohiko, Fukagawa Syohei, Kamoga ...
    2022 年 1 巻 1 号 p. 20-30
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【背景/目的】糖尿病性末梢神経障害(diabetic peripheral neuropathy:DPN)患者はバランス障害と歩行の機能の低下により,転倒のリスクが高まりQOLが低下する.この研究の目的は,DPN患者DPNの歩行の安定性に関連する要因を明らかにすることである. 【方法】本研究の対象は糖尿病教育入院をしたDPN患者40名(年齢:58.8 ± 9.3歳,性別:男性16人と女性24名)とした.歩行の安定性の評価は3軸加速度計を用い,重心を反映する第3腰椎棘突起に貼付して,歩行中のデータからroot mean square (RMS)を算出し,体重の2乗値で補正した.また下腿筋の同時収縮の評価には筋電計を用い,歩行中の前脛骨筋とヒラメ筋のデータからco-contraction index (CI)を算出した.各評価は自己快適速度による10m歩行テストからデータを取得した.統計学的分析は各指標の関係性についてピアソンの相関分析を行った.その後RMSを従属変数とした重回帰分析を実施した.さらにRMSを従属変数,CIを独立変数とし,年齢,性別,身長で調整した重回帰分析を行った. 【結果】歩行の不安定性には下腿筋の同時収縮が影響を与えていた(β = 0.45, p < 0.01).この関係は年齢,性別,身長で調整しても有意な関係は変わらなかった(β = 0.54, p < 0.01). 【考察】DPN患者の歩行の安定性には下腿筋の同時収縮が影響を与えている可能性が示唆された.
  • Mizoguchi Katsura, Kono Kenichi, Nishida Yusuke
    2022 年 1 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】日本人における糖尿病の発症危険因子には身体的活動の低下などがある.身体不活動は死亡に対する危険因子でもあり身体活動の維持・促進は重要である.生態学モデルは身体活動に関する環境要因と心理社会的要因の関係の複雑さを説明している.本研究の目的は糖尿病患者において運動コースの地図を用いた生態学モデルにおける多階層レベルの介入と関係する心理社会的要因を運動への動機づけから検討するとともに,運動コースの地図を用いた指導により,身体活動が促進されるか明らかにすることとする. 【方法】糖尿病教育目的で入院となった患者17名を対象とした.心理社会的要因は運動に対する動機づけの強さ(BREQ-2)を用い,下位項目の点数が相対的に高い項目を各対象の代表的調整スタイルとした.入院期間中に活動量計を使用して身体活動量を測定し,運動コースの地図を用いた指導前後で活動量計の変化を調整スタイルごとに比較した.病院内,病院敷地内の地図を使用し,指導内容としては病棟内,病院内,敷地内の歩行コースを紹介し,各コースの距離,想定される消費カロリーを指導した. 【結果】同一視的調整スタイルの対象患者で運動コースの地図を用いた指導後に有意に身体活動量の増加を認めた. 【結論】運動に対する動機づけの調整スタイルのうち同一視的調整スタイルの対象患者において運動コースを用いた環境要因を取り入れた指導によって身体活動が促進することが示唆された.
  • Kataoka Hiroaki, Igaki Makoto, Nomura Takuo, Kawae Toshihiro, Kono Ken ...
    2022 年 1 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【Background】Exercise therapy is very important for improving glycemic control in diabetes mellitus. Physical therapists should be actively involved in treating diabetes mellitus as specialists in exercise therapy; however, various issues, such as the lack of established evidence for exercise therapy, have prevented physical therapists from playing a larger role in the care of patients with diabetes mellitus. Therefore, the purpose of this study is to conduct a large-scale clinical study to obtain evidence supporting physiotherapy for diabetes mellitus. 【Methods】This is a large-scale multicenter study, which involves the participation of 200 facilities nationwide, and includes 10,000 patients with type 1 and type 2 diabetes mellitus. This exploratory study aims to evaluate the efficacy of physiotherapy and the need for the intervention of physical therapists from multiple angles over the course of 10 years. 【Discussion】As the number of Japanese diabetic patients continues to grow, so does the importance of exercise therapy as an option to treat diabetes mellitus. The knowledge and techniques of physical therapists are essential for providing optimal exercise therapy, and many healthcare professionals have high expectations regarding the role of physical therapists. Findings obtained from this study should provide evidence that increases awareness among physical therapists and encourages their participation in providing therapy for patients with diabetes. 【Trial registration】The trial registration number is UMIN-CTR (UMIN000044011).
  • 野村 卓生, 井垣 誠, 山野 薫, 大津 孝浩
    2022 年 1 巻 1 号 p. 44-53
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【はじめに】訪問リハビリテーションにおける糖尿病を合併した事例を供覧し,理学療法を実施する上での課題や問題を理学療法管理学の観点から分析して考察した. 【理学療法管理学の定義】本論文では,理学療法管理学とは,「適切な理学療法サービスを効率よく安全に提供するための管理(マネジメント)を研究する学問領域」と定義した.理学療法管理学の観点として,①多職種連携管理,②リスク管理,③感染症管理,④業務管理,⑤教育管理の5つの視点とした. 【結語】疾病構造の変化と共に,理学療法士が生活習慣病,なかでも国民病といっても過言ではない糖尿病を有する者を担当する機会が今後も益々増加すると考えられる.地域包括ケアシステムの確立の上でも,糖尿病の治療法の一つである理学療法の知識と技術を多面的に“管理”する必要がある.
  • 木村 和樹, 西倉 尊, 五十嵐 貴大
    2022 年 1 巻 1 号 p. 54-62
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【背景】足関節は立ち座りや歩行といった基本動作,立位での姿勢戦略において重要な役割を担っている.しかし,足関節の関節可動域は脳卒中や腰部疾患による運動麻痺,下肢の運動器疾患の影響を受けることがある.また,糖尿病性神経障害は足関節の関節可動域を制限し,足病変の発生リスクを上昇させることが報告されている.そこで,本研究は膝関節屈曲角度が足関節背屈の自動的関節可動域に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 【方法】対象は健常若年成人の男性17名(利き足17肢)とした.膝関節屈曲0°(伸展0°),および膝関節屈曲 30°,60°,90°,120°の5条件において,足関節背屈の自動的関節可動域を検討した.デジタル一眼レフカメラにて撮影をした画像の分析にはImage-Jを使用して関節角度を算出した.各膝関節角度における足関節背屈の自動的関節可動域の比較はFriedman検定後,Bonferroni法による多重比較検定を行った. 【結果】膝関節伸展0°は膝関節屈曲60°以上の条件と比較して有意に足関節背屈の自動的関節可動域が制限されていた(p 値<0.05).また,膝関節屈曲90°と120°は膝関節屈曲30°よりも足関節背屈の自動的関節可動域が拡大した(p 値<0.05). 【考察】膝関節屈曲角度の増加に伴う足関節背屈の自動的関節可動域の変化は,膝関節屈曲60°未満では腓腹筋の伸張性が影響した.膝関節屈曲90°以上における足関節背屈の自動的関節可動域の拡大には腓腹筋の伸張性以外の要因が影響すると考えられた.
  • 高石 果歩, 大島 勇哉, 後藤 夏季, 藤田 直人, 浦川 将
    2022 年 1 巻 1 号 p. 63-76
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル オープンアクセス
    【背景/目的】2型糖尿病の病期に応じた運動処方を検討する前段階として,肥満と耐糖能障害の進行に合わせた,精巣上体脂肪組織と肝臓に由来する炎症性サイトカインの発現量の推移を検証した. 【方法】肥満を伴う2型糖尿病モデル動物である雄性OLETFラット,及び非肥満モデル動物として雄性LETOラットを使用し,8週齢,20週齢,30週齢,60週齢において,精巣上体脂肪組織と肝臓に由来するサイトカイン(IL-6,TNFα,IL-1β,IL-10)のmRNA発現量を測定した. 【結果】8週齢から30週齢にかけて,OLETFラットの精巣上体脂肪量と肝臓トリグリセリド量はLETOラットと比較して有意に高値を示したが,60週齢では有意に低値を示した.また,OLETFラットにおける耐糖能障害は8週齢の時点から確認され,その後は悪化し続けた.OLETFラットの精巣上体脂肪組織に由来するIL-6の発現量は,20週齢から30週齢かけて有意に増加し,その後は有意に減少した.一方,OLETFラットの肝臓におけるTNFαの発現量は,8週齢から20週齢にかけて有意に増加し,その後は有意に減少した. 【考察】内臓脂肪や異所性脂肪の過剰な蓄積が,2型糖尿病の病期の初期において耐糖能障害を引き起こし,肥満の進行により肝臓由来のTNFαと脂肪由来のIL-6が耐糖能障害を促進させることが示唆された.
  • 石黒 博也, 林 久恵, 江西 一成, 神谷 実希, 榊原 康喜, 髙橋 ゆい, 野尻 奈穂, 水野 裕子, 丹羽 靖浩, 足立 浩一
    2022 年 1 巻 1 号 p. 77-88
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【はじめに】肥満は2型糖尿病の病態進行を助長する因子であり,糖尿病教育入院中は減量に向けた食事・運動習慣の獲得が必要となる.外来通院中の肥満2型糖尿病患者に対して小型端末を使用した介入が運動習慣の獲得を促進すると示されているが,入院中の同患者に対しての介入効果は検証されていない.そこで,本研究の目的は小型端末を使用した運動支援が入院中の肥満2型糖尿病患者の運動習慣の獲得と減量効果に及ぼす影響を検証することとした. 【方法】対象は運動習慣のない肥満2型糖尿病患者14名(男性9名,女性5名,平均年齢49.4 ± 18.5歳)とし,運動支援に小型端末を使用する使用群(8名),使用しない非使用群(6名)に割り付けた. 【結果】運動順守率は使用群で平均85.1 ± 12.4%,非使用群は平均22.1 ± 21%であり,使用群は非使用群と比較して有意に高かった(p < 0.001).退院時の行動変容ステージは使用群が非使用群と比較して実行期の割合が有意に多かった(p = 0.015). 【考察】使用群では小型端末の通知機能と運動実施のフィードバックが運動アドヒアランス向上に寄与したと推察される.入院中に小型端末を使用した運動支援を行うことで消費エネルギー量・行動変容ステージ・運動遵守率の向上することが確認されたが,小型端末の使用による運動習慣化,減量効果については追跡調査が必要である.
  • 古谷 友希, 田村 由馬, 田宮 創, 小川 将, 北濱 眞司, 元山 猛, 中谷 祐己, 安 隆則
    2022 年 1 巻 1 号 p. 89-102
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【背景/目的】2型糖尿病(T2DM)患者における動脈硬化の進行をba-PWVにより定義し,ba-PWVと体組成因子,筋力,患者特性との関係を明らかにすることを目的とした. 【方法】T2DM患者128名を対象に動脈硬化指標,体組成,体格項目,血液検査データ,背景因子を評価した.統計解析はPearsonの積率相関係数,Spearmanの順位相関係数,重回帰分析,ロジスティック回帰分析,ANCOVAを実施した(p < 0.05). 【結果】対象者は年齢63.12 ± 11.96歳,BMI25.58 ± 4.35kg/m2,ba-PWV1666.03 ± 368.19cm/s,SBP139.36 ± 16.52mmHg,罹患年数11.25 ± 9.45年,HbA1c6.9 ± 0.72%だった.ba-PWVを従属変数とし,単変量解析での関連要因を従属変数とする年齢とSBPで調整したロジスティック回帰分析ではBMI(OR = 0.84,95% CI 0.726- 0.965,p < 0.001)が採択された.また,BMIのcut off値は26.28kg/m2(曲線下面積0.71,95% IC 0.60-0.82) だった.ANCOVAでは,BMIがba-PWVの有意な説明因子だった(p < 0.05). 【考察】本研究はT2DM患者のBMIが動脈硬化の出現頻度に関連したことを明らかにし,そのうえでBMIのcut off値を提案した.
  • 真田 将幸, 嘉数 直人
    2022 年 1 巻 1 号 p. 103-114
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/03/21
    ジャーナル フリー
    【目的】短時間の実施で効果が期待できるトレーニング法であるHigh Intensity Interval Training(以下,HIIT)に関する事と,当院で実施している糖尿病患者に対する新しい運動療法の試みについて紹介すること. 【HIITの有効性】健常人や疾患を有する患者を対象に時間的効率性,継続性,有効性,glucose transporter type 4(以下,GLUT4)への関与などの先行研究を閲覧した結果,中等度負荷の持続運動と比較し,より短時間で最大酸素摂取量,ミトコンドリア,GLUT4を増やし,運動の楽しさや継続性が高く,血糖コントロールに優れたトレーニング法であることが示唆された. 【当院におけるHIITの取り組み】当院外来通院中の糖尿病患者を対象にしたセミパーソナルジムを保険外診療にて実施している.内容は,実質のトレーニング時間が7分30秒間のHIITの実施と共に,運動と栄養に関する双方の指導を理学療法士が実施している.参加者からは,「しんどいけど楽しい」,「参加してから血液検査の結果が良くなっている」,「血圧が下がった」,「歩きやすくなった」,「間食しないようになった」などの声が上がっている. 【考察】HIITは短時間の運動で健康上の利益が得られるために,忙しくて運動できない糖尿病患者への運動指導にも用いることができると考える.
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