日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
慢性維持透析患者における糖尿病合併の有無と腎臓リハビリテーションの効果の違い
長井 梓苑 片岡 弘明岩田 康信林野 収成北山 奈緒美宮崎 慎二郎吉川 理津子村尾 敏
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2023 年 2 巻 1 号 p. 105-112

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抄録

【緒言】近年,腎臓リハビリテーション(腎リハ)の重要性が認識され,血液透析(Hemo Dialysis:HD)患者の下肢筋力低下に対する有効性が報告されている.HD患者では糖尿病(Diabetes Mellitus:DM)を合併している割合が多く,DMは下肢筋力の低下と密接に関連している.よって,DMを合併したHD患者では,下肢の筋力低下がより進行していることが考えられることから,腎リハの効果はDMを合併していないHD患者とは異なる可能性があるが,そのような研究は報告されていない.本研究の目的は,DMの有無によって下肢筋力低下に対する腎リハの効果に違いがあるのかを明らかにすることである. 【方法】外来通院中のHD患者22名を対象とし,DMの有無で2群に分類した.両群とも同一の腎リハプログラムを1年間実施した.筋力評価は握力,膝伸展筋力,足趾筋力とし,研究開始時と1年後に測定した.統計解析として,各群での筋力の変化と2群間での筋力の変化率を比較した.有意水準は5%とした. 【結果】1年間の経過では,握力で非DM群,DM群ともに有意な改善は認めなかったが,膝伸展筋力と足趾筋力は両群ともに有意に改善した.各筋力の変化率を2群間で比較した結果,握力は有意差を認めなかったが,膝伸展筋力と足趾筋力は,非DM群の方がDM群よりも有意に改善した. 【結語】DM患者で,腎リハを実施しても膝伸展筋力と足趾筋力で改善効果が乏しくなる可能性が示唆された.

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© 2023 日本糖尿病理学療法学会
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