日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
糖尿病透析予防指導における高度腎機能障害患者への運動指導効果
近藤 源光宗 雅人梅岡 二美宮岡 弘明
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 3 巻 1 号 p. 68-78

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抄録

【緒言】わが国の透析患者数は増加傾向にあり,新規透析導入の主な原因疾患は糖尿病性腎症である.近年,糖尿病性腎症患者への透析予防指導に診療報酬が算定可能となったが,実際には理学療法士の頻回な介入は難しく,当院でも1サイクル2回の介入にとどまっている.本研究の目的は,糖尿病透析予防指導における糖尿病性腎症患者への少ない回数の運動指導が,運動機能や腎機能および他の臨床検査値に与える影響を検討することである. 【方法】高度腎機能障害患者指導として理学療法士が運動指導に介入した糖尿病性腎症患者39名を対象に,腎臓リハビリテーションガイドラインに準拠して,自重レジスタンス運動とウォーキングによる有酸素運動を指導した.29名の運動が継続できた群と,10名の運動が継続できなかった群に対して,推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)の変化量(ΔeGFR)を運動指導前1年間と指導後1年間で,他の臨床検査値および運動機能を運動指導前後で比較した. 【結果】運動が継続できた群のΔeGFRにて改善の傾向を認めたが運動が継続できなかった群では認めなかった.その他の臨床検査値および運動機能において2群間で有意差は認めなかった. 【結論】糖尿病透析予防指導における糖尿病性腎症外来患者は,指導回数が少なくても運動を継続して実施することで腎機能が改善する可能性が示唆された.

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© 2024 日本糖尿病理学療法学会
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