日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
地域在住高齢2型糖尿病患者の身体活動量と動作能力の臨床的特徴に関する調査
藤沢 千春佐々木 克尚中西 修平岩本 正博
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 3 巻 1 号 p. 59-67

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抄録

【背景/目的】2型糖尿病(T2DM)はサルコペニアの合併や糖尿病性細小血管合併症に伴う感覚障害などが転倒を誘発して間接的に身体活動(PA)が制限される.これらの状況は日常生活の非活動化や動作能力(PF)の低下,社会的な生活機能を低下させる要因となる.  本研究はT2DM患者のPAとPFに体組成,生活活動範囲などの臨床的特徴が関係するかを調査した. 【方法】対象は70歳以上の地域在住高齢T2DM患者とした.PA評価には国際標準化身体活動質問票を,PF評価には5回立ち上がりテストを評価した.その他に下肢筋力,バランス,生活活動範囲(LSA),就労状況,転倒経験の有無などを評価した.  PAとPFの値を基に低PF-低PA群,低PF-高PA群,高PF-低PA群,高PF-高PA群の4群に分類した.4群の比較には多重比較検定またはχ二乗検定を実施した. 【結果】175名が対象となった.低PF-低PA群と高PF-低PA群は高PF-高PA群と低PF-高PA群よりもLSAと就労状況が有意に低下していた.低PF-高PA群は高PF-高PA群よりも高年齢で,下肢筋力,バランスが低下していた.低PF-低PA群は高PF-低PA群よりも転倒経験が多く,バランスや下肢筋力が低下していた. 【考察】T2DM患者のPAにはLSAや就労状況といった環境要因が影響していた.一方,PFには年齢や病態の進行など不可逆的な要素が影響していた.

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