日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
高齢者糖尿病の理学療法研究の現状と展望
森 優太松本 和隆
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 4 巻 1 号 p. 32-41

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抄録
【緒言】高齢者糖尿病に対する理学療法の現状と成果を既存の研究からレビューし,今後の理学療法研究に求められる課題を明らかにすることを目的とする. 【方法】文献検索には諸外国ではPubMedを,国内ではCiNii Researchを用いた.諸外国における高齢者糖尿病の理学療法研究の検索方法は,「diabetes AND physical therapy AND older」をキーワードとして,1)介入研究,2)高齢者であること等の5つの選定基準に基づき対象論文を選定した.国内における選定方法も類似した検索方法で実施した. 【結果】諸外国における高齢者糖尿病の理学療法研究結果として,PubMed より298論文を検索式より抽出した.そこから選定基準に基づきレビューした結果,10件が対象論文として選定された.これらの論文の中で,介入方法として複合的な運動プログラムを用いた報告は7件であった.理学療法介入としてバランス機能が改善した報告は5件,筋力改善は3件であった.CiNii Researchを用いた国内の研究報告はなかった. 【結論】これまでの取り組みは,諸外国の取り組みにとどまっており,日本での取り組み成果は見られていなかった.今後求められる高齢者糖尿病の理学療法に関する研究として,介護保険制度や一般介護予防事業等の,わが国独自の運動・リハビリに関するサービス制度や社会的資源を活用した報告が求められる.
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© 2025 日本糖尿病理学療法学会
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