抄録
膵癌患者では,化学療法や周術期治療に伴う倦怠感,食思不振,末梢神経障害,活動量低下により,身体機能および骨格筋量が低下しやすい.これらの変化は治療継続や予後に影響するため,身体機能の維持は重要な課題である.また,膵癌患者には糖代謝異常を併発する症例も多く,血糖状態は身体機能や筋量変化に影響を及ぼす可能性がある.近年,化学療法中の身体機能低下や筋量減少が予後不良と関連する報告が蓄積し,運動介入による機能改善の可能性も示されている.有酸素運動やレジスタンス運動は歩行能力や筋力の改善に寄与し,術後には血糖コントロールに好影響を及ぼす可能性もある.本総説では,膵癌患者の治療過程における身体機能変化と運動療法の役割を整理し,糖尿病に配慮した理学療法介入の視点を概説する.