関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第30回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: P1-5-043
会議情報

ポスター発表5 「運動器3」
少年野球選手のポジション別障害の現状報告
~2009年野球検診より~
*加藤 健太郎立石 学遠藤 剛岡邨 直人関根 裕之田中 康雄大野 健太山本 智章
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抄録

【目的】
野球選手にとって,投球障害の予防は重要事項である.近年,メディカルチェックにて危険因子を検出し,障害を減少させる取り組みが行われている.しかし,投手に注目されたものが散在される一方で,捕手及び野手に注目した報告は少ない.本研究の目的は,野球選手を対象に実施した問診及び肩肘の検診結果から,各ポジション(投手,捕手,野手)の障害状況を把握し,今後の予防策を検討する一助とすることである.

【方法】
2009年に開催された学童新人野球大会において,小学6年生以下を対象に,問診503名(投手群123名,捕手群45名,野手群335名),検診474名(投手群101名,捕手群45名,野手群328名)実施した.問診内容は「痛みのある部位」,「ポジション」で,検診内容は肩・肘関節の運動時痛,圧痛,ストレステストで,理学療法士が実施した.肩・肘の検診項目のうち,一つでもあてはまる項目があれば,陽性とした.問診,検診共にポジション別で百分率化し,それぞれの陽性率を比較検討した.

【説明と同意】
事前に文書で,各チームの監督,保護者に対して検診の目的,内容について説明と同意を得た.

【結果】
問診では,投手群は肩31.7%(39名),肘41.5%(51名),捕手群は肩22.2%(10名),肘44.4%(20名),野手群は肩15.2%(51名),肘11.9%(40名)であった.検診では,投手群は肩21.8%(22名),肘13.9%(14名),捕手群は肩22.2%(10名),肘15.6%(7名),野手群は肩27.4%(90名),肘18.9%(62名)が陽性であった.

【考察】
投手,捕手群は問診結果を野手群と比較すると,約二倍以上,肩・肘関節の疼痛の訴えが多かった.これは投球数の差が大きく関与していることが考えられるが,肩・肘関節の検診の陽性率ではポジション間での差がみられなかったため,野手は投手,捕手と同様に,肩・肘関節を酷使している可能性がある.そして,投手だけでなく,捕手及び野手のケアの徹底も検討すべきである.今後も追跡的な調査を続け,ポジション別での身体機能面にも着目することで,さらなる投球障害の予防が可能になると考えられる.

【理学療法学研究としての意義】
成長期投球障害は予防と早期発見が重要である.投球障害は投手に注目されがちだが,捕手及び野手に対しても同様に障害予防を啓発することで,投球障害の早期発見,重症化を予防する一助となると考える.

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© 2011 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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