関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 263
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緩和ケア病棟における廃用予防と看護師との連携について
荒木 聡子室井 真樹安川 生太
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キーワード: 緩和ケア, 廃用予防, 連携
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抄録

【目的】
 当院は、606床の急性期総合病院であるが緩和ケア病棟も有す。当リハ科は、緩和ケア病棟と週1回のカンファレンス(以下カンファ)を実施し、年々、リハビリテーション(以下リハ)への期待が高まり、廃用予防および改善に向けた依頼数が増加した。しかし、がんの終末期において廃用予防および改善は病状により困難なことが多い。今回、緩和ケア患者の廃用予防および改善に向けた看護師とリハ科との情報伝達向上、連携強化を目的に、看護師に対し意識調査を行った。
【方法】
 対象は緩和ケア病棟看護師25名とした。アンケートは、無記名自記式質問紙とし、実施期間は2011年10月3日~21日だった。本調査の趣旨への同意は、アンケート用紙への回答をもって確認し、回答いただいた内容は、統計処理し、個人が特定できないように十分配慮した。
【結果】
 回収率は20名(80%)だった。年齢区分は、20代2名、30代13名、40代3名、50代1名で、緩和ケア病棟での経験年数は平均5.8±6.7年(中央値3年)だった。この半年で、”廃用患者を担当したことがある”は16名、”全く経験なし”が2名、未記入が2名だった。廃用予防的が”困難であると感じた”は15名、”困難と感じない”は3名、未記入は2名だった。困難と感じる理由は、苦痛を伴うことが多いこと、症状コントロールが優先されるために介入が困難であるとの回答が多かった。カンファで話し合いたいことでは、目標設定が19名、情報の共有13名、リハの進捗状況が13名だった。ADL能力や介助方法については各8名だった。リハ科との”連携ができている”と感じるのは目標設定や情報の共有ができていることが17件だった。一方、”連携できていない”と感じるのは、目標の不一致や病状の進行に合わないときが5件、病棟とリハでの出来ることの差に気がついたときが6件、リハの内容が不明2件などがあげられた。
【考察】
 病棟での廃用予防については、患者の苦痛を伴うために積極的な介入はできないとの意見が多い一方、リハに対しては予防的な廃用予防や改善を望むことが多かった。また、カンファにより、目標設定や情報共有ができていると感じる一方で、目標の不一致を感じることもあることがわかった。週1回のカンファでは、患者の病状の変化に対応できないこともあり、目標の不一致を生じたと考えられる。今後、これを減少させるためには、適宜情報交換ができるような調整が必要と考える。
【まとめ】
 緩和ケア病棟とリハ科のカンファでは、目標設定や情報交換においては有効であると思われるが、詳細な内容については、差があることがわかった。カンファ以外での情報交換の方法も今後検討していく必要性も示唆された。

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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