関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 93
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全国高等学校総合体育大会埼玉県予選ボート競技サポート活動における学年別及び種目別障害特性の実態と活動成果の報告
遠藤 浩士朝倉 敬道遠江 朋子島 拓也柏瀬 周示関 正利
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抄録
【目的】
高校ボート競技におけるコンディショニングサポート活動(以下、サポート活動)支援の質向上のために、その効果検証を行うことを目的とする。なお、本活動は埼玉県理学療法士会(事業局スポーツリハビリテーション推進部)が行う事業の一つとして、例年実施されている。今回、平成23年度活動におけるボート競技の障害特性の実態と活動成果を報告する。
【対象・方法】
全国高等学校総合体育大会埼玉県予選ボート競技出場高校生に対し、競技前後のサポート活動を実施し、活動評価表及びアンケート調査結果を基に、学年別、種目間の障害特性、活動成果についての検討を行った。倫理的配慮として、調査前には、選手には十分な説明を行い、同意を得た上で実施した。
【結果】
総利用者件数は97件(実人数71名)、再利用率32%であった。男女別割合としては、男性55%、女性45%であった。実施時期としては、競技前25%、競技後75%であり、発症機転としては、具体的にあったが36%、不明瞭が64%であった。今回の利用者種目区分としては、シングル41%、ダブル32%、クウォド27%であった。学年別障害発生率としては、腰背部が男性(1年72%、2年19%、3年13%)女性(1年30%、2年35%、3年27%)、大腿部が男性(1年0%、2年28%、3年37%)女性(1年0%、2年24%、3年6%)、下腿部が男性(1年0%、2年28%、3年34%)女性(1年20%、2年34%、3年30%)、肩が男性(1年0%、2年1%、3年6%)女性(1年0%、2年6%、3年6%)であった。各種目別障害発生率としては、シングルでは男性は、腰背部31%、肩甲帯・肩38%、女性は、腰背部33%、下腿部67%であった。ダブルでは、男性は、大腿部40%・下腿部30%、腰背部14%、女性は、腰背部36%、下腿部27%、クウォドでは、男性は、大腿部37%、下腿部33%、腰背部16%、女性は腰背部28%、下腿部26%、大腿部22%であった。活動成果としては、満足度調査結果から、8点以上が84%、疼痛スケールは、4以下の改善が71%であった。
【考察】
障害部位としての特徴は、腰部、下肢(大腿部・下腿部)への発生率が多く、学年別では、男性は、低学年ほど腰背部に集中した傾向が見られ、高学年では、腰背部と下肢症状を伴う傾向にあった。これらは、低学年ほど反復におけるローイング動作そのものが、体力的要素に影響していることや、高学年ほど、動作における下肢・体幹への伝達が、より下肢への負担が強いられているのではないかと示唆される。今回の活動において、より低学年層からの選手自身による日常的なコンディショニングの重要性を改めて感じた。
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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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