関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第33回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-043
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口述発表(一般・症例報告)
特別支援教育の訪問教育における理学療法士と教員との相互理解に基づく協働のあり方について
*鈴木 哉吉田 泰江
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抄録
【目的】 在宅で生活する重度重複障害を有する児童生徒への特別支 援教育の訪問教育では、理学療法士(以下PT)が教員と協 働する役割も重要である。本演題では、訪問教育を受ける児 童生徒の課題に対して、どのようにPTと教員が各々の専門 性を理解しながら、日常的な同僚として連続性をもって発展 的に協働できるかを示す。 【方法、症例】 PTと担任(以下MT)は、訪問教育前後に授業中の生徒の 様子を映像と授業記録から分析し、授業内容と授業へのPT 評価の活かし方を確認した。その後授業にて教育効果を確認 した。事例生徒は、小学校3年生在籍時に「小脳出血による 遷延性意識障害」と診断を受け、中学部より特別支援学校肢 体不自由教育部門へ入学し訪問教育を受ける。訪問教育開始 時の横地分類(改定大島分類)はB1、GMFCSレベル5であ った。PTは2012年度訪問教育全49回のうち3回、各回約2時 間の授業に同行した。授業中は生徒の身体的負担に留意し た。 【倫理的配慮、説明と同意】 本発表にあたり、保護者、学校長、関係教員に発表主旨、 内容について承諾を得た。 【結果】 MTはPTとの協働により、生徒の達成感、主体性をより 活かす授業を行った。生徒は適切な環境下で感覚、運動に気 づき、自発運動を増やした。 【考察】 重度重複障害を有する児童生徒の訪問教育では、(1)個別 学習の利点を活かし児童生徒の反応を心身共に観察し把握す ること(2)児童生徒の自発的な動きを拾い、意味づけを教 員と児童生徒が協働で行うこと(3)家庭生活に変化を起こ す場であることを意識する。(1)~(3)を活かす為のPTと教 員の専門性を融合した関わりは、「子どもに寄り添う」教育 の視点に有益と考えられる。 【理学療法としての意義】 1.日常的に教員の専門性を理解した上で理学療法の理論を 教育分野に反映させること2.訪問教育との協働を通して、在 宅の重度重複障害児の主体性を尊重しながら安心・安全な教 育、地域医療、福祉に寄与できる意義がある。
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© 2014 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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